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初めて訪れた宮古島は想像より遥かに寒く、雨がしとしと降っていた。
迎えにきてくれた友人が「拓ちゃんが東京をつれてきた」というほど
めずらしい寒さらしく、友人は「島では初めて使う」ジャンパーを羽織り、
自分は東京で着ていたコートをトランクから取り出した。
ホームセンターでペンキを買ったものの、雨は二日間やむ気配もなく、
かといってやつれるほど忙しそうにしている友人を横目に
ボーッと過ごすわけにもいかないので、買い出しを手伝うことにした。
市場に行って驚いたのは、野菜が豊富で、どの野菜も逞しく、実に美味しそうなことだ。
サツマイモやサトウキビ、マンゴーのイメージが強いが、葉野菜や、色鮮やかな人参や蕪、
ズッキーニやキノコ、アロエ、ヨモギやパルダマ、島固有の野菜等種類も多く、しかも安い。
聞くと、宮古島は珊瑚の上にできているので水はけがよく、野菜がよく育つそうだ。
時化のせいで魚は見当たらないが、これに海の幸や畜産物が加わるのだから、
大抵の食材は島のもので事足りるのがよくわかる。
加えて、東京や本島から来たものはどこの高級スーパーだと思うほど高い。
米は栽培していないが、隣の石垣島でとれるものが入ってくる。
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